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Microsoft AI Tour Tokyo 2025:基調講演まとめ

こんにちは、先日妻が泣いてる娘に「ママはあなたのことが一番大事よ、だからそんなに泣かないで」と言ったものの泣き止まないのでどうしたのかと聞いたら「そういうママに感動してるの」と言われてこっちが感動した木村です。

2025年3月27日に東京ビックサイトで開催されたMicrosoft AI Tourに参加してきました。
基調講演の内容について取り急ぎまとめましたので皆様にお届けします。

aitour.microsoft.com

基調講演

今回の基調講演はMicrosoft CEOのサティア・ナデラ氏。日本のイベントで現地登壇されるということでビックリしました。
私は残念ながら参加申込時の抽選に落選して午後からのイベント参加となったので、基調講演はホテルからYouTubeで見ていました。

www.youtube.com

皆様も是非ご覧になってください。以下は私なりの内容のまとめと感想になります。

Microsoftの原点と日本との深い繋がり

来週で創業50周年を迎えるMicrosoftにおいて、日本が最初の海外拠点であり、47年間という長い間、非常に重要な役割を果たしてきたことが強調されました。講演の中でも、日本のAzureリージョンの拡充などについても言及され、日本とMicrosoftの深い関わりが改めて示されました。

AIによる新たなプラットフォームの時代

クライアント-サーバー、Web、クラウドに続く新たな時代としてAIの時代(Era of AI)が到来したと述べました。このAI時代では、まるでムーアの法則のように、その能力は指数関数的に増大していると説明しました。そして価格は逆に数ヶ月で半分になるとも述べました(これは能力が向上することで、「同じ能力のものがより安価に提供できる」ということかと思います)。

その中で、提供される知性を如何にして価値あるアウトプットに転換していくかが重要であると述べました。

AIが変革するコンピューティングの姿

AIの進化は、コンピューティングのあり方を根底から変えると指摘しました。

  1. ユーザーインターフェースの変革:
    マルチモーダルモデルの進化により、音声、画像、映像など、多様な入力と出力を自然に行えるようになり、あらゆるアプリケーションやデバイスのインターフェースが刷新される
  2. 高度な計画・推論能力(plannning and reasoning):
    チャットのような単なる入力と出力だけでなく、計画を立てたり、推論したり、長期的な記憶や文脈を理解した上で行動できるようになる
  3. エージェント:
    これまでアプリケーションやウェブサイトで行ってきたことが、個々のユーザー、組織、エンドツーエンドのビジネスプロセスにおいて、「エージェント」を通じて実現できるようになる

3つのプラットフォーム

Microsoftは以下の三つの主要なプラットフォームに注力していると説明しました。

  1. Microsoft Copilot:
    CopilotはAIのUIであり、マルチモーダルな入力を備え、より高度な自律的なエージェントの活用も視野に入れている。Enterprise向けではM365 Copilotにおいて、Word、Excel、PowerPoint、Teams、Outlookといった既存のアプリケーション内でAIの支援を受けられるようになっている。さらに、Copilot Studioを通じて、誰もが簡単に独自のエージェントを構築できるようになる。
  2. AIスタック:
    Azureはグローバルに展開されたインフラストラクチャを提供し、AIワークロード向けに最新のHPCやNvidia GPUを搭載したリージョンを日本国内でも拡張する。 データ戦略では、あらゆるデータをAIインフラと連携させるため、クラウドネイティブなデータベースの最適化や、Azure Databricks、Oracle、Snowflakeといった多様なデータプラットフォームとの連携を強化している。
    AIモデルのファインチューニング、評価、安全性確保、監視に必要なサービス群をFoundryとして提供し(Azure AI Foundry)、多様なモデルへのアクセスを可能にすることで、最適なAIアプリケーション開発を支援する。
    VS CodeやGitHubといった既存の開発ツールに加え、GitHub Copilotによる開発支援や、AIがプルリクエストを自動で行う「Project Padawan」といった新たなAIを活用した開発の未来を紹介。
  3. Copilotデバイス:
    クラウドだけでなく、エッジデバイスにおいてもAIを活用する。NPU(Neural Processing Unit)の進化により、デバイス上で高度なAI処理が可能になり、新たなクラスのアプリケーションや機能が実現される

信頼性と責任あるAIの実現

AI技術の普及において、信頼性の確保が不可欠であると強調されました。エンジニアリング、デザインの段階からTrustを組み込んでいかないといけないとも述べられました。
Microsoftはこれまでも責任あるAIとして6つの原則を打ち出していましたが、それがさらに強調されたという印象を受けました。

量子コンピューティング

講演の最後には、AIの進化の先に、自然界のシミュレーターとなる量子コンピューティングの可能性が語られました。Project Majoranaにも触れられました。

まとめ

サティア・ナデラ氏の基調講演は、AIが社会のあらゆる側面をtransformする可能性を示唆するものであり、Microsoftがその変革をリードしていくという強い意志が感じられる内容でした。

また、今回は日本との長年にわたるパートナーシップと、日本におけるAIイノベーションへの期待が強調された点が印象的でした。

Copilotが「賢いブラウザ」としてAIに対するUIになり、その裏側ではマルチエージェントが動き、エッジでもAIが動くという未来が示されました。今回のイベントではエージェントの構築や運用に関するセッションも多く、私も実際にそれらに参加してきました。その内容についてはまた別記事で触れたいと思います。

皆さんのお役に立てば幸いです。


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