はじめに
こんにちは!最近春が近づいてきており暖かくなってきましたね。今回は先日オンライン参加したScrum Fest Fukuoka 2026のレポートを書きます🌸
Scrum Fest Fukuoka 2026とは
スクラムフェス福岡は、今年で第4回を迎えるアジャイルコミュニティの祭典です。
プロダクト開発の技術やプロセスだけでなく、人・チーム・組織にも価値を置き、エンジニアやデザイナー、QA、SM、POなどロールを問わず、関心のあるすべての人が楽しめるイベントです。
全国から参加者が集まる年に一度のイベントで、初参加やイベント未経験者も歓迎しています。
セッションを聞いて、感じたことは、どれも「AIで便利になった時代だからこそ、スクラムやアジャイルの概念をどう取り入れていくのか」がキーワードになっていることです。また、いくつかのセッションを聞く中で、AIを利用して成果物を速く作ろうと思うほど、スクラム的な観点を注視し取り組む必要があると感じました。
セッションレポート
ここでは気になったセッションについてのレポートを記載します。
スポンサーLT muture社 チームの“癖”は、直すよりまず観察を ~スクフェス福岡2026LT~
muture社のスポンサーLTでは、現場でのリアルな課題感と、それに向き合う変革の取り組みが共有されました。
社内の事例紹介として、小さく試行しながら検証環境を構築することや、社内資料をうまく活用してカルチャーを醸成していく工夫が紹介されました。
カルチャー紹介の部分で良い文化だと感じた部分は、他の人の社内資料やプレゼンを見ていいところを取り入れようという点です。
弊社でも社内ブログを社員同士でたまに見て、いいと思った技術Tipsやブログの書き方は参考にしようという雰囲気があり、muture社内の良い取り組みは他の社員も自然に取り入れる文化に共感しました。
セッション資料が以下のサイトにて公開されておりますので、気になった方はぜひチェックしてみてください🌟
Keynote Scrum Fest Fukuoka 2026『挑戦を、楽しめ。』定員割れ高校を変えた「挑戦する文化」のつくり方
こちらはキーノートセッションとして行われました。登壇されたのは、福岡女子商業高校の校長先生である柴山さんです。校長先生ならではの、教育現場における組織変革や文化づくりについて語られていました。
セッションを通して感じたのは、柴山さんの取り組みそのものが、まさにスクラム的なアプローチだという点です。
例えば、生徒の学力や学習意欲を改善する場面では、一般的には生徒本人に焦点を当てがちですが、柴山さんは生徒を取り巻く組織や環境全体に目を向けて改善すべきだと示されていました。これは、スクラムやアジャイルでよく語られる「誰かを悪者にするのではなく、仕組みや体制そのものを見直す」という考え方と強く通じるものだと思います。失敗を個人の責任として切り離すのではなく、失敗を前提に組織全体で学習と改善を重ねていくことで、アジャイルの価値観に沿った組織体制を整えていけると感じました。
また、組織改革の話の中で紹介されていた「薩摩の教え」に触れられていた点も印象的でした。
実はこの考え方は、弊社でもカルチャーとして語られているものであり、スクラムにおける「失敗を許容する文化」と強く通じるものがあります。
失敗を恐れず、まず挑戦してみること。その経験から学び、次につなげていく姿勢は、スクラムに限らず、どの業界においてもこれからますます求められる重要な能力だと実感しました。
AI駆動で爆速開発した結果、スクラムを形骸化させた話 〜「教会を建てる」目的を忘れたレンガ職人の反省記〜
こちらは宇和川さんのセッションになります。社内改革の取り組みの一環で作成したダッシュボードについて、AI駆動開発による「爆速実装」の裏側で起きた、スクラムの形骸化についてのリアルな振り返りが共有されました。
AIを活用することで、それまで開発プロセスの中で明確なボトルネックとなっていた実装作業は大幅に効率化され、開発期間そのものも大きく短縮されました。しかし、完成したプロダクトを振り返ったとき、本来価値を届けるべきユーザーが本当に求めていたものではなく、開発者自身が「こうあるべき」「これがあったら便利だ」と考えたものが完成してしまいました。
この事例は、AIがもたらす「開発スピードの向上」という大きなメリットが、使い方を誤ると、スクラムの前提となるInspect & Adapt(検査と適応)を支えている対話や振り返りの機会そのものを減らしてしまう可能性がある、という示唆を与えています。
私自身もこのセッションを聞いて、過去に顧客向けの回答を作成した際、AIの提案を取り入れる中で内容を盛り込みすぎてしまい、「これではお客さまに意図が伝わりにくいかもしれない」とレビューで指摘を受けたことを思い出しました。
スクラムに限らず、AIを活用する際には、それが本当にユーザーの求めているものなのか、あるいは自分の思い込みで必要以上の要素を足していないか、一度立ち止まって熟考する姿勢が重要だと感じています。
また、早くできるからといって、エンドユーザーとの話し合いの機会をおざなりにしないことも大切だと思いました。
アジャイルなマインドセットを「取り戻す」新人研修づくり
こちらは、福田さんによるセッションになります。地方拠点でもスクラムを継続し、「学びが現場で循環する組織」を作ることを目的に新人研修を設計したお話でした。
もともと福田さん自身はアジャイル開発を行うチームに長年在籍しており、教育も行っていましたが、近年の案件の短期間アサイン等から現場で教える期間の短縮化・アジャイルから離れる時期が存在することから口伝で教えるのには限界を感じていたと語っています。
そこで新人研修に取り込むことで最初から触れてもらい教育する機会を作ろうと考えたそうです。
印象的だったのは、単なる技術の詰め込みではなく、「自分で調べる力」「分からないことを言語化する力」「AIを使っても正しく理解・判断できる基礎力」を身につけることを重視した研修設計になっていた点です。AIによってコードや文章を即座に生成できるようになった今、AIが出力した成果物に対して「本当にこれでいいのか」を判断できる力は、これまで以上に重要になっています。
技術研修そのものももちろん重要ですが、それに加えて、業務を進めるうえでの考え方や進め方、AIを活用する中で良し悪しを見極める力まで学べる研修は、実務に直結しやすく、非常に有意義だと感じました。
こちらのセッションは資料が公開されておりますので、気になった方は是非チェックしてみてください!
その新人研修でアジャイルなマインドセットは「取り戻せた」のか?
「アジャイルなマインドセットを「取り戻す」新人研修づくり」に関連したセッションです。
ここでは、福田さんと新人研修を受けた若手エンジニアの中野さん、亀井さんによるトークセッションが行われ、研修を経て現場に入ったリアルな声が共有されました。
まず、普段の現場の状況としては、スプリント初期はスクラムの進め方やルール理解に苦労したと振り返えられています。 特に、自身の負荷よりも、先輩メンバーやSMが他案件と兼務しており、十分なフォロー時間を確保しづらかった点が印象に残ったといいます。
この状況に対し、チームではデイリースクラムやスプリントイベントを通じて、「今どこで詰まっているか」「何を助けてほしいか」を言語化・共有することを重視しました。また技術面では、TypeScriptの基礎経験はあったものの、React未経験のまま現場に入るギャップがありました。これに対しては、本を読んで自主的に基礎力を磨きながら業務を実際に進めて実装力を身に着ける他、歳の近い先輩をメンターとして相談できる環境を作り、業務についてフォローできる体制を整えていると話されていました。
次に研修については、PBL型研修を通じて「自分で調べ、理解し、試す」という学習スタイルに切り替えられたことが、OJTへのスムーズな移行につながったという声がありました。
さらに、研修の狙いである「AIの成果物に対して判断を行う力」についても印象的な話がありました。実際に研修でAIを活用する中で、理解が追いつかないまま成果物が出来上がることに不安を感じた方もいたそうです。
その不安を放置せず、成果物作成後すぐに調べ直したり、空き時間で基礎知識を学び直したりすることで、徐々に判断力を身につけていったという点が、AIを使う前提の今だからこそ、重要な視点だと感じました。
セッションを聞いている私自身も若手の立場のため、AIに頼ることの不安等共感できる部分が多かったです。
終わりに
スクラムフェス福岡に参加して、最初はスクラムのセッションが多いのかな?と思っていたのですが、スクラムの話はもちろん組織づくりの話も多い印象で、普段スクラムに触れられない方も楽しめるカンファレンスになっていると感じました。
セッションを聞いて得た気づきとしては、AIで速くものを作れるようになった今だからこそ、忘れられがちなステークホルダーとの対話やチームでのやり取りを密に行う必要がある点です。すぐにできるから出来上がって話せばOK、まだ話さなくていいという風に対話の機会をおざなりにするのではなく、むしろこまめに認識合わせを行い、作業を進めることが本当に速くいいものを作るための最適解だと感じました。
私自身チームや案件の作業の中で、AIを活用しながら、対話の機会をとりこぼさないように気を付けていきたいと思います。
スクラムやアジャイルのイベントについて、気になった方は是非各地のスクラムがテーマのイベントや勉強会に参加してみてください🌟
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