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Fabric入門:Fabric Capacityとは何か

クラウドソリューション部の木本です。

前回までは、5回に渡ってMicrosoft Fabricの仕組みについて整理しました。
Microsoft Fabricを始めるにあたって理解しておきたい「データの取り込みから分析までの一連の流れ」をまとめていますので、ぜひ併せてお読みいただけたらと思います。

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さて、Microsoft Fabricを学習するにあたって、多くの人が最初に利用するのがFabric Trialではないでしょうか。
Fabric Trialを使うと、LakehouseやNotebook、PipelineなどのFabricの主要機能を一通り試すことができます。
私もFabricの検証環境としてFabric Trialを利用していました。

しかし、Trialには60日間という利用期限があります。
この60日という期間は長いようで短く、気が付くとあっという間に終了してしまいます。
私もあと数日でTrial期間が終了するタイミングになり、「このままFabricを使い続けるにはどうすればいいのだろう?」と考えるようになりました。


そこで、Fabricのライセンス体系について改めて確認しようと思ったのですが、これがまたわかりづらい。
特に「Fabric Capacity」と呼ばれるものが一体何なのかよくわからない、という印象を持ったのは私だけではないと思います。
そこで実際にFabric Capacityを購入し、利用してみました。

本記事では、Fabric Free、Fabric Trial、Fabric Capacityの関係を整理しながら、特にFabric Capacityについて解説したいと思います。
※Power BI ProやPPUとの関係など、さらに複雑なライセンス体系も存在しますが、本記事では「Fabricを利用するための基盤となるFabric Capacity」に絞って説明します。
(この記事は2026年7月現在の情報を元に書いています。)



Fabricは原則として組織アカウント向けのサービス

まず前提として、Microsoft FabricはMicrosoft Entra IDを中心に構成されており、原則として組織アカウント(職場または学校アカウント)で利用することを前提としています。

一方で、現在は個人で学習するための方法も提供されており、Fabric FreeやFabric Trialを利用して個人環境から検証を始めることも可能です。

そのため、組織で利用する場合も、個人で学習する場合も、まずはFabric FreeやFabric Trialから始めるケースが多いでしょう。


まずは「利用者」と「環境」を分けて考える

Fabricのライセンスが分かりづらい理由の一つは、利用者向けライセンスと環境側のライセンスが混在しているためです。

例えば、

利用者向けライセンス
├ Fabric Free
├ Power BI Pro
└ Power BI Premium Per User(PPU)

はユーザーに割り当てるライセンスです。

一方で、

環境側
└ Fabric Capacity

はFabricを動かすためのリソースです。

利用者向けライセンスとFabric Capacityは、同じライセンスの話でも役割が異なります。


Fabric Freeとは

Fabricを試してみたい場合の入口になるのがFabric Freeです。
Fabric FreeはFabricを利用するための無料ライセンスであり、まずはFabricの画面に触れてみたいという場合に利用できます。

ただし、ここで重要なのは、Fabric Free ≠ Fabric Capacityであることです。
Fabric FreeそのものにFabric Capacityは含まれていません。


Fabric Trialとは

次に登場するのがFabric Trialです。

私は当初、「Fabric Trial = Fabricの評価版」くらいの認識で利用していました。
しかし、Trial終了後に何が利用できなくなるのかを調べる中で、実際にはFabric Capacityが期間限定で提供されていたことに気付きました。
そのため、Fabric Trialは「Fabric Capacityのお試し環境」と考えると理解しやすいと思います。

イメージとしては、

Fabric Free = 無料ライセンス
Fabric Trial = 無料ライセンス + 期間限定のFabric Capacity

です。

期間限定のFabric Capacityが提供されることによって、LakehouseやNotebook、PipelineなどのFabric機能を利用できるようになります。
Trial期間が終了すると、そのCapacityへのアクセスは失われます。
私がFabric Capacityの購入を検討し始めたのも、まさにこのタイミングでした。


謎多きFabric Capacity

さて、ここからが本題です。
私が最も理解しづらかったのが、このFabric Capacityでした。
特に混乱したのが"Capacity"という言葉です。

Fabric Capacityは日本語では「Fabric容量」と表現されることがあります。
この「容量」という表現から、当初は「データを保存できる容量」のことだと思っていました。
しかし実際に利用してみようとすると、この理解は少し違いました。

Lakehouse、Warehouse、Notebook、PipelineなどのFabric機能は、このFabric Capacity上で動作しています。
つまり、Fabric Capacityはデータの保存領域ではなく、Fabric全体を動かすためのコンピューティングリソース と考える方が実態に近いようです。
そう考えると、Fabric Capacityの"Capacity"は、「容量」ではなく「能力」というニュアンスで捉えた方が理解しやすいのではないかと考えました。

重要なのは「どれだけデータを保存できるか」ではなく、「どれだけFabricを動かせるか」です。
私自身、「Fabric Capacity = Fabricの処理能力」と理解してから、一気に腹落ちしました。


Fabric Capacityがあると何ができるのか

Fabric Capacityは単なる保存領域ではなく、Fabricの主要機能を動かすための基盤です。
前回のシリーズで見てきたLakehouseやWarehouse、あるいはNotebook、Pipelineなど、Fabricの特徴であるデータ基盤の機能を利用するためには、Fabric Capacityが必要になります。


Fabric Capacityの価値は、単に処理性能が向上することではありません。
では、Fabric Capacityがあることによって何が変わるのでしょうか。

私はMicrosoft Fabricを次の3つのレイヤーで考えると理解しやすいと感じています。

① 可視化(Power BI)
② セマンティックモデル
③ データ基盤(Lakehouse、Warehouse、Notebook、Pipeline)

Fabric Capacityのあり・なしで考えると、以下のような違いがあります。

【Capacityなし】

① 可視化(Power BI)
② セマンティックモデル
        ↓
Power BI中心の利用

【Capacityあり】

① 可視化(Power BI)
② セマンティックモデル
③ データ基盤(Lakehouse、Warehouse、Notebook、Pipeline)
        ↓
Microsoft Fabric全体を利用可能

Fabric Capacityがない場合でも、Power BIの利用自体は可能です。(利用できる範囲はユーザーライセンスなどの条件に依存します。)
一方で、Fabricの特徴であるデータ基盤の機能を利用するためにはFabric Capacityが必要になります。


Fabric Capacityはどこで購入するのか

では、そのFabric Capacityはいったいどうやって購入するのでしょうか。

私は最初、Microsoft 365管理センターやPower BIの管理画面などから購入するのだと思っていましたが、実際には、Fabric CapacityはAzureポータルから購入します。
実際に購入してみると、Fabric CapacityがAzureリソースとして扱われていることがよく分かります。
Power BI Proなどのいわゆる「ユーザーライセンス」を購入する感覚とはかなり違いました。


まずは、AzureポータルでFabric Capacityリソースを作成します。

Azure MarketplaceからMicrosoft Fabricを選択して作成する

今回は検証用として最小構成のF2を選択


次に、FabricでワークスペースにFabric Capacityを割り当てます。

作成したFabric Capacityをワークスペースへ割り当てる


課金方式を理解する

Fabric Capacityの見積もりを行うと、最小構成であるF2でも月額で約5万円弱という決して安くない金額が出てきます。
この見積結果を見ると、「個人で検証するのは難しそう・・・」と感じる人も多いのではないでしょうか。
私もこの金額を見て少し尻込みしたのですが、実際に購入してみると「意外とコストをかけずに使えそうだな」と感じました。
なぜなら、Fabric Capacityは一時停止できるからです。

つまり、

動かす → 課金
一時停止する → 課金停止

という運用ができます。 これはAzureの仮想マシンと同様の仕組みです。

「Fabricを利用していなくても、一時停止しなければ課金が続く」という点は注意が必要ですが、逆に言えば、

  • 数日だけ試す
  • 学習期間だけ有効化する
  • 週末だけ利用する

といった使い方も可能です。
組織で利用する場合にも「営業時間外は一時停止しておく」という運用ができます。


このことが分かってから、「月額数万円のサービス」という印象だったものが、「必要な期間だけ利用できる検証環境」という印象に変わりました。
実際、購入したFabric Capacityを割り当てたワークスペースでMicrosoft Learnの演習問題を行ったところ、最小のF2で数十円程度で済みました。
もちろん実行する内容や利用時間によって金額は変わりますが、少なくとも私が想像していたよりもかなり気軽に検証できると感じました。


Fabric Capacityのサイズはどう選ぶべきか

Fabric Capacityには、F2からF2048まで複数のSKUがあります。
SKUという言葉に馴染みがない方もいるかもしれませんが、ここでは「Fabric Capacityのサイズ」くらいの理解で十分です。

Fabricでは、F2やF4といったSKUによって利用できるコンピューティングリソースの大きさが決まります。
一般的には、数字の大きなSKUを選ぶほど、より多くのデータを、より高速に処理できるようになります。
これはデータの加工だけでなく、多くのユーザーがレポートやデータにアクセスした時の処理性能にも影響します。

最初から大きなサイズを選ぶ必要はなく、まずは小さく始めて、必要になったらスケールアップするのが現実的だと思います。
Fabricの見積もりツールも提供されているので、導入前に試算してみることもできます。

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まとめ

本記事では、Microsoft Fabricを利用するためのライセンスについて、Fabric Capacityを中心に整理しました。

ポイントをまとめます。

・Fabricを学習する際はFabric Trialから始められる
・Fabric TrialはFabric Capacityのお試し環境と考えると理解しやすい
・Fabric Capacityは保存容量ではなく処理能力である
・Fabricの主要機能はFabric Capacity上で動作する
・Fabric CapacityはAzureポータルから購入する
・一時停止を活用することでコストを抑えることもできる

今回、Fabric Trialの期限が近づいたことをきっかけにFabric Capacityを購入してみました。
その結果、ライセンス体系そのものよりも、まずはFabric Capacityを理解することがFabricを理解する近道だと感じています。
これからFabricを学習する方や、Fabric Capacityの位置付けがよく分からない方の参考になれば幸いです。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


補足:OneLake Storageの料金について

今回の記事で整理した通り、Fabric Capacityは主に処理能力(コンピューティングリソース)を提供するものであり、データ保存料金そのものは含まれていません。
とはいえ、データの保存に料金が発生しないわけではなく、LakehouseやWarehouseに保存したデータはOneLakeに格納され、そのストレージ使用量に応じた料金が発生します。
ここは見落としやすいので、料金の見積もりを行う際には注意した方がよさそうです。

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