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経理という職種について

PRマーケティングの鬼のよしざきから逃れる術もなく今年も何を書こうかと悩んでいる「尖ったエンジニア集団」の中で唯一の経理担当の有田です。今回は経理という職種について書きます。

コロナで経理の新しい働き方が始まった

 私は古いタイプの人種でしたので出社するのが当たり前という仕事のスタイルだったのですが、昨今のコロナ禍で在宅ワークが可能になり経理の仕事はかなり自由度が高まったと思います。事務作業のアナログ度合、デジタル度合に応じて使い分けをしながら経理業務が可能になりました。「仕事が急ぎでない日でも、フルタイムで在席していなければならない」という旧態依然の概念が薄れていきました。コロナ禍によるIT技術の発展は経理の働き方に変革をもたらしてくれました。

経理は必要だ

 コロナ禍前までは「経理はAIでなくなる」「便利なソフトウェアを入れれば経理はいらない」など、経理を仕事にする人間にとってはネガティブなフレーズばかり聞かされて来ました。しかし昨年の緊急事態宣言の後、多くの人が「コロナ禍でも経理だけは出社していた」というのを聞いて、AIで代替えできる業務は変えるべきだと思いますが「なんだ、結局経理要るじゃないか」と思いました。給与の支払 請求書の突合 経費の支払 決算書の分析等経理のチェックを必要とする業務はたくさんあります。昨今多発している不正会計などは機械では見つけることは出来ません。

成果物の内容が決まっているのでスランプがない

 エンジニアやデザイナーなど、クリエーターと呼ばれる人たちは、常に新しいもの、唯一無二のものを可視化していく作業ですから、アイデアがひらめかない、イメージがあるのだけれども具現化できない、ということがあり、そのような時は、「調子が悪い」「スランプ」と自分で思ったり、周囲から思われたりするでしょう。一方で経理の仕事は、やるべきことが事前に決まっています。決まっていることを滞りなく行うのが経理の仕事ですので、個人の調子の良し悪しやスランプで影響される仕事ではないので、気分が乗らないときでも、簿記、会計を理解していれば仕事自体は滞りなくやれてしまうことが多いのです。  

経理は「ヒト」に振り回されにくい仕事

 経理という仕事は、基本的に「ヒトに振り回される」ということが他の職種に比べて少ないと思います。あるとしても、決められた期日に書類を出さない担当者ぐらいで、ほとんどの人は期日通り、ルール通りにお願いしたことは対応してもらえますから、経理業務のせいで、社内の人間関係で悩むことはなかったと思います。社外に対してはどうかというと、基本的には銀行や税理士事務所、監査法人等、業務上非常識な対応していれば成り立たない職業、組織、職種の方達とのやりとりがほとんどです。たまに???という方達はいますけど。経理という仕事は基本的に「資料」を介した仕事です。そのため、相手先にも同様に仕事の資料や証跡が残っているため、資料に目を通せばだいたい過去のやりとりが理解できます。経理という職種は、比較的落ち着いて自分の仕事に集中できる環境を得やすいのではないかと思います。

答えを導く過程を一つに固定し続ける仕事

 経理の仕事は、「極力数ヶ月前と同じ、前年と同じスタイルを維持する」という発想がベースにあります。新しいことをインプットする、というよりも、新しいものが発生したらいかに現状のルールに落とし込み、以前と変わらない状況を作れるか、という仕事が多くなります。多くの職種が、常に答えがいくつもある中で仕事をしなければならない環境であるのに対し、経理は、最初に「この場合はこのやり方」と一旦決まってしまえば、継続性の観点から、それを維持する、つまり「答えを導く過程が一つ」になります。答えを導く過程を理解していればその仕事には対応できます。会社の経営者や外部の人達が会社の数字を見て間違った判断をしないように、一旦決めたら原則そのやり方を継続しなければなりません。売上や費用の計上を何の基準もなしに行うと会社の経営者や外部の人達は混乱してしまいます。

会計ソフトの仕訳データを見れば会社がわかる

 私は転職を経験しましたが、基本的には詳細な引継ぎがなくても業務に重大な支障をきたすことはありませんでした。なぜなら、会計ソフトの仕訳データの中身をみれば、その会社がどのような会社か、どのような業界なのかがわかるからです。売掛金や買掛金などの補助コードで、その会社のクライアントがわかりますし、売上や原価の立て方で事業構造もわかります。そして経費精算や給与データなどで、どれくらい人件費がかかっているか、どんな経費がかかっているかなども仕訳データを見れば一目瞭然にわかるのです。このようにデータを数ヶ月見ていくと、あたかも既に何年もいる社員のように経理業務ができるようになります。

最後に

 経理という職種に関わるには、最低限「簿記会計」の基礎知識の習得は必要ですが、このハードルを越えてしまえば「つぶしが効く」職種であり、経理そのものが原則や本質が固定化されているので、年齢差がある人と経理の話をしても業務内容の理解が嚙み合わないことは少ないと思います。リスクを負ってもいいから、思いっきりチャレンジして成功を得られる仕事を求めている人には魅力を感じないかもしれませんが、経理の仕事は本質的な部分は変わりませんので、経理関係の用語の改訂や法律の改正などがあっても、その部分を都度キャッチアップしておけば、どの業界でも戦力として働ける魅力ある職種であると思っています。