「Microsoft 365 Copilotで〇〇しようぜ」シリーズ、まさかの第3弾という展開に戸惑いを隠せない木本です。 ぜひ第1弾と第2弾もあわせて読んでくださいませ。
もはやコレなしでは仕事がはかどらないと言っても過言ではないほどMicrosoft 365 Copilotを毎日利用しているのですが、数日前、会話の中で「メモリが更新されました」と小さく表示されていることに気づきました。
1日に何十回も会話していたのに一度も見たことがなかったので調べてみると、この7月に一般提供が開始されたばかりの「Copilotメモリ」という新機能とのこと。
Microsoftは、AIがユーザーのために働くべきだという理念のもと、Copilotに「メモリ」機能を導入しました。これにより、Copilotがユーザーの好みや作業スタイルを記憶し、よりパーソナライズされた支援が可能になります。
Copilotがパーソナライズされるという、このCopilotメモリをさっそく試していきたいと思います。
(この記事は2025年7月現在の情報を元に書いています。)
呼び名を指定してみます
「パーソナライズと言えばまず呼び名だろう」と考え、「今度からまさよしさんと呼んで」と投げかけてみたところ「メモリが更新されました」との表示。
これまで僕のことを「木本さん」(アカウントのプロファイルから取得した呼び名)と呼んでいたCopilotが、このメモリの更新以降は必ず「まさよしさん」と呼ぶようになりました。
実は前回のブログを書く際、画面キャプチャを取るために「僕のことはまさよしと呼んで」と指示したことがあったのですが、その時にはまだこの機能がなく、指示通りに「まさよしさん」と呼んでくれるのはその会話セッションの中だけでした。
しかし今回Copilotメモリとして記憶されたことにより、新しい会話を始めても、PCを再起動しても、翌日になっても「まさよしさん」と呼んでくれます。
単に画面に表示される文字列が「木本」から「まさよし」に変わっただけなのに急に親近感が湧いてくるのはなぜでしょうか。すっかり気を良くした「まさよしさん」は、こんな悪ふざk・・・お願いもしてみました。
呼び名以外の用途
もちろん、Copilotメモリができるのは呼び名の記憶だけではありません。以下のようなこともできるそうです。(むしろこっちの方がメイン用途です。)
- よく話題にする内容を覚えて、次回以降の会話で優先的に扱う
- よく一緒に仕事をする人を覚えて、関連する情報をすぐに探すことができる
- 会話の文脈を記憶して、「この前の件だけど…」といった話もすぐに理解できる
Copilotメモリの管理
設定画面の開き方
登録されたメモリは、Microsoft 365 Copilot Chat設定画面の「個人用設定」の中で確認することができます。
Microsoft 365 Copilot Chat画面右上の「・・・」メニューから「Settings」を開くと設定画面が表示されるので、[個人用設定] → [Copilotメモリ] に進みます。
あるいはチャット上の「メモリが更新されました」から「メモリの管理」を順にクリックして、Copilotメモリの設定画面をダイレクトに開くこともできます。
設定画面でできること
この設定画面では記憶されたメモリを個別あるいは一括で削除することができます。新規の登録や編集はできません。 また、画面下部にある「Copilotメモリ」のスイッチをオフにすることで、Copilotメモリ機能を無効にすることができます。(個人に対して無効化されます)
こんな風に記憶されてるのかと思うと、ちょっと恥ずかしくなってきました・・・
また、ミシェルことCopilotに直接「何を覚えてる?」と聞くことでも、メモリされた内容を確認することができました。 こうして確認すると、Copilotメモリで記憶されたことや最近行った会話の話題だけでなく、ユーザーのプロファイル、TeamsやOutlookなど各アプリの利用状況までCopilotが覚えていることがわかります。
Copilotメモリとカスタム指示
前述の個人用設定の中に「Copilotメモリ」のほかに「カスタム指示」があることに気づいた方もいらっしゃると思います。 「Copilotメモリ」も「カスタム指示」も、どちらもCopilotをパーソナライズするための機能ですが、目的やニュアンスが少し異なるようです。
Copilotメモリ
Copilotメモリは【ユーザーとのやりとりの中で自然に記憶されるもの】です。 何を記憶するかはCopilotが取捨選択しますが、もし会話の中で覚えておいてほしいことがあれば「これ覚えて」と言えばいいし、忘れてほしいことがあれば「これ忘れて」と指示することで変更することができます。 ユーザーの「キャラクター」や「作業履歴」を覚える感覚に近く、使えば使うほど育つパートナー的な存在と言えるかもしれません。
カスタム指示
一方、カスタム指示は【ユーザーが「こうしてほしい」と明示的に指定するもの】で、設定画面からいつでも入力・確認・編集をすることができます。 「Copilotの性格や話し方、応答方針」を設定することが想定されているようで、自分好みにカスタマイズされたCopilotを "即座に" 形づくる機能と言えます。
たとえば「文書を要約する時は箇条書きにしてください」とか、「報告書はWordファイルで作成してください」とか、「報告書は"だ・である調"、メールは"です・ます調"で書いてください」というカスタム指示をあらかじめ与えておくことで、毎回指示をしなくても要望通りにCopilotが応答したり、成果物を作成したりするようになります。
Microsoft Copilotとの類似点と相違点
このMicrosoft 365 CopilotのCopilotメモリと同じような機能が、個人アカウント向けにも提供されているMicrosoft Copilotにも組み込まれています。
私生活ではMicrosoft Copilotを使うことが多いのですが、最近、会話を繰り返していくうちに、過去に会話した話題を絡めて回答してくることが多くなったことに気づきました。 つまり、Microsoft Copilotもユーザーの考え方や興味の傾向などを学習しているのです。
Microsoft Copilotも、Microsoft 365 CopilotのColilotメモリも、「対話を通じてユーザーの好み・傾向・興味を学び、次回以降もっと的確な対応ができるようにする仕組み」という点では同じです。 ただし、前述の通りCopilotメモリは記憶した際に「メモリを更新しました」と表示されますが、Microsoft Copilotの場合は記憶したことが明示されないためCopilotが「いつ何を覚えたのか」がわかりません。
また、Copilotメモリはユーザー自身が設定画面等を通じてメモリを管理することができますが、Microsoft Copilotには設定画面がありません。(ただし、「〇〇のことを覚えて」とか「〇〇のことは忘れて」と指示すれば反映させることはできます。)
そして、ここが一番大きな違いだと思うのですが、CopilotメモリはMicrosoft 365製品全体がスコープになり、Microsoft 365の様々なアプリをまたいで記憶が活用されます。 たとえばWordでは記憶された文書作成のスタイルや好みが下書きや要約に自動的に反映されたり、Excelでは分析の視点やよく使う関数の傾向などの記憶を元にデータ分析の提案などを行うようになるそうです。
このあたりはまだ情報も少なく、これからいろいろ試してみたいと思っているところですが、こういう機能が追加されていくことによって、Copilotが「相棒」や「同僚」になっていくような気がしますね。
まとめ
率直に言えば、パーソナライズ機能なんてなくてもCopilotはちゃんと指示に従って仕事をします。 ただ、ユーザーの好みや傾向、作業状況や過去のやり取りなどを記憶していることで、ユーザーが求める結果により早く到達することが可能になるのは確かです。 毎回プロンプトで細かい指示を与えるというのも、普段使いする上ではなかなか面倒くさいものです。「いちいち細かく指示しなくても自分が求める応答が出てくる」ということになれば、より気軽に、よりポジティブな気持ちでCopilotに向き合うことができるようになります。
いつでも気軽に相談できて、しっかりと自分をアシストしてくれていることが実感できる。そんな存在は、それが人間であってもAIであっても頼りがいがあるものです。 もしかしたら、Copilotを使うことは単に仕事の生産性を向上させるだけでなく、従業員の心理的安全性を確保することにもつながっていくのかもしれません。
そんなことを考えながら、とりあえず呼び名を「まさよしさん」に戻したいと思います。 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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